SERVICE 膝の再生療法(ACP PRP療法)

当院では、変形性膝関節症の新たな治療選択肢として「膝の再生療法(ACP PRP療法)」をおこなっています。
患者様の血液を利用した再生医療で、なかなか改善しない膝の痛みのある患者様の関節の炎症を鎮め、痛みや腫れを抑え、関節破壊の進行をくい止めることが期待されています。日帰り・短時間・少量(15ml)の採血で治療提供が可能な、患者様にとって負担の少ない治療です。安心できる治療の選択肢のひとつとして、検討していただきたいと思います。

変形性膝関節症とは

変形性膝関節症は、膝のクッションとして働いている軟骨が加齢にともないすり減り、炎症が起きたり関節が変形したりして痛みや腫れを生じる病気です。外傷や感染等明らかな原因があって発症する場合もありますが、多くは加齢を主な原因として、肥満や使いすぎ、遺伝的な背景等複数の原因が積み重なって発症します。

病気の進行過程

病気の進行とともに軟骨がすり減り、関節の組織全体が変性していきます。

  • 正常
  • 初期
    • 立ち上がるときに痛む
    • ひざがこわばる
    • 動き始めに痛む
  • 中期
    • 正座しにくい
    • 階段の上り下りでひざが痛む
    • ひざに水がたまる
  • 末期
    • じっとしていても痛む
    • ひざの曲げ伸ばしが難しい
    • 歩くときにひざが横揺れする
    • 歩行困難

変形性膝関節症の新たな治療選択肢「ACP PRP療法」とは

これまでの変形性膝関節症に対する治療は、「手術をしない治療(運動療法・痛み止めの内服薬・ヒアルロン酸やステロイド注射)」と「手術治療(関節鏡手術・高位脛骨骨切り術・人工関節置換術)」が一般的でした。なかなか改善しないひざの痛みで日常活動が制限されると、筋力が衰え、病気の進行は早まってしまいます。さらに、症状が進行し、関節の機能が失われると、手術以外では症状を抑えることが難しくなるため治療の選択肢も狭まります。
そこに新たな治療選択肢として、患者様の血液を利用した再生医療である「ACP PRP療法」が加わりました。

患者様の血液を利用した再生医療

PRP(多血小板血漿)療法は患者様の血液を利用した再生医療です。
なかなか改善しない膝の痛みのある患者様の関節の炎症を鎮め、痛みや腫れを抑え、関節破壊の進行をくい止めることが期待されています。

患者様の血液には成長因子等の良いタンパク質、炎症や軟骨破壊を促進する悪いタンパク質が一緒に含まれています。PRP療法では、成長因子を多く含む血小板と細胞の栄養素等を含む血漿を悪いタンパク質※を含む赤血球から分離することで血液のもつ治癒作用を高めて治療に利用されます。

※…マクロファージ遊走阻止因子(MIF)、IL-8等を指します。MIF、IL-8は血液中で赤血球に高濃度に含まれており、赤血球から遊離すると強い炎症反応を引き起こします。

ACP PRP療法とは? 〔炎症抑制と軟骨保護作用を高めたPRP〕

ACP※1とはPRPの一種で、炎症抑制作用の邪魔になる赤血球と一部の白血球※2を約99%分離し、炎症抑制と軟骨保護作用を高めた黄色い液体です。赤血球と白血球がほとんど含まれないため、“Pure-PRP”とも言われます。血液中の良いタンパク質をバランスよく濃縮し、注入することで、関節内の細胞が病的な炎症を引き起こす仕組み(NF-κBシグナル伝達経路)を抑制し、炎症を改善、痛みの緩和、軟骨破壊抑止を行うことが期待されています。

ACP PRP療法は欧州で既に治療法として承認されています。また、欧米では既に複数の機関で客観性の高い臨床試験が行われ、その結果が国際的に権威のある学術雑誌に報告され、有効性の確認が進んでいます。

  • ※1…ACPはAutologous Conditioned Plasmaの略称で、日本語で自家調整血漿といいます。
  • ※2…好中球を指します。細菌感染に対する生体防御機能を持ちますが、炎症や軟骨破壊を引き起こし組織を障害します。通常はこうした作用は生体内では制御されていますが、慢性炎症性疾患では過剰な働きを示すことが知られています。軟骨保護に働くタンパク質IGF, TGF, PG4 等炎症抑制に働くタンパク質PDGF, TGF,IGF, HGF 等

治療の流れ

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    1回目のご来院:治療適応の決定(保険診療)

    まずは、通常の一般整形外科(保険診療)を受診していただき、必要な画像検査などを実施します。(保険診療内での治療、運動器リハビリテーションが効果的と判断する場合もあります。)
    再生医療の適応である場合には治療の説明をさせていただき、実際の治療日の予約を取ります。予約日に、署名した同意書を持参して下さい。

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    2回目のご来院(予約日):ACP PRP療法(自費診療)

    治療は3つのステップでおこなわれます。個人差はありますが通常の場合、採血から治療提供まで15分〜30分程度です。少量(15ml)の採血で治療を受けることができる負担の少ない治療です。

    • ①患者様の腕から少量採血(15ml)します。
    • ②血液を遠心分離し、赤血球と白血球からPRPを分離、抽出します。
    • ③PRPを患部に注射します。治療後は普段通りの日常生活が可能です。

ACP PRP療法の料金と注意事項

当院で提供するACP PRP療法は、すべて自費診療であり健康保険を使用することはできません。
本治療にかかる費用は、以下のとおりです。なお、費用は、治療に伴う診査、PRP調製のための採血にかかる費用、PRP調製費用、注入にかかる費用の総額となります。左右両側に投与する場合は2回分の料金が必要です。より高い効果を出すために2~3回の実施をおすすめする場合もありますので、詳しくは個別にご説明いたします。

ACP PRP療法 1回(1部位) 50,000円(税込)

注意事項

  • 本治療を当院で行うにあたり、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に基づき、日本肌再生医学会特定認定再生医療等委員会(認定番号;NA8190009)の意見を聴いたうえで、再生医療等提供計画を厚生労働大臣に提出しています。当該再生医療等提供計画は厚生労働省の「各種申請書作成支援サイト(再生医療等の安全性の確保等に関する法律運用支援システム)」でも公表されています。
  • 治療効果には個人差があります。患者様によってはご満足いく結果に至らない場合もございます。
  • 施術後数日間、炎症(痛み、熱感、痛み、腫れ)を伴うことがあります。
  • PRPを投与する箇所、またご自身の血液(細胞)を採取する部位に感染症が起こる可能性があります。
  • 長期にわたる治療効果は確認されていません。
  • 施術当日の入浴は控えてください。

PRP療法を受けることが出来ない方(除外基準)

  • 出血傾向のある疾患のある方
  • 抗凝固薬を使用されている方
  • 貧血のある方
  • 重篤な感染症のある方や、感染を起こしやすい基礎疾患(がん、糖尿病、免疫不全症、膠原病、肝硬変など)をお持ちの方
  • その他主治医が不適当と判断した方
入院なし、日帰りで受けられる再生医療ACP PRP療法とは?
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